本来仕事での宿泊なのだから寝泊りさえ出来ればそれ以上は不要なはずなのに、
自分で勝手に期待を高めてしまった分みょうな虚しさを感じていた。

帰りの道中いつものようにコンビニのトイレで女性のあとに入るチャンスでもうかがお
うかと思ったが最近の郊外タイプのコンビニはトイレが男女別になっていることが多く
目的の残り香を嗅げる確率もかなり低くなっているように思えて二の足を踏んでしま
った。おまけに最近は道の駅が充実してきたせいもあってか郊外のコンビニトイレで
のうんこ遭遇率自体も下がってきているような気さえする。

世の中が便利になっていくのは良い事だけどマニア的にはさみしい次第だ。
下痢から立ち昇る湯気を顔面で受けたコンビニもその後の建て直しでウォシュレット
付きの水洗トイレになってしまった・・・ 

近道として入った山道の途中にトイレ付きの駐車場を見つける。車が10数台程度しか
停められない小さな駐車場だったが観光シーズンのせいもあってかそのほとんどが車
で埋まっていた。どうやらちょっとしたビュースポットになっているようで車から若い子が
何人か降りてくるのが見えた。急に閃いた僕は車を停めて公衆トイレへと向かう。

思った通り汲み取り式のトイレだった。

ログハウス風の造りで向かって右側に女性トイレ、左側に男性トイレ、中央に車椅子用
のトイレが配置されている。全体的にこじんまりとしており夏場なので男女共に入口の
扉は開けっ放しになっていた。男性用に入ると小便器が2つに大便用の個室が一つと
いう造りだった。これだと女性用は個室2つ程度しか配置できるスペースが無いはずだ。
手洗い用の蛇口が取り外されている。水の使用ができなくなっているようだ。

僕は小便器をスルーして個室に入る。別に便意があったわけではない。今回2泊3日
最後の(地味な)活動である。個室の鍵をかけてからゆっくり個室内を見渡した。足元
の和式便器は便器内全体が穴になっているタイプではなくしゃがんだ尻の下が穴にな
っているタイプ。しかし途中で管が傾斜しているのか便槽内が見えない。天井を見る。
ログハウス風にありがちな天井部分が吹き抜けでつながっているものを期待したが残
念ながらしっかり男女で区切られていた。

まもなく車の止まる音が聞こえてきた。ドアの閉まる音のあとに何やらにぎやかなグル
ープがこちらに向かってくる。声からして3~4人、全て女性、言語が中華圏・・・

外人さんだ。